歴史５
90年代以降
近年のマリアナ諸島では、10億ドル規模のサイパンの衣料産業における劣悪な労働慣行が国際的に問題化しました。サイパンにはアジアからの労働者が高収入とアメリカ市民権を期待してやって来ますが、労働環境は劣悪で、苛酷な生活を強いられます。一方これに対してマリアナ諸島民はアメリカの賃金法や移民法によって特別な保護を受けているのです。1999年、労働者たちはアメリカの衣料メーカーや小売業者を相手にとって訴訟を起こしました。
1990年代末のアジア金融危機は島にも大打撃を与え、アメリカ、特にアメリカ軍の経済的役割を際立たせる結果となりました。経済面以外でも、2000年半ばまでに、第二次大戦で日本軍がサイパン周辺に残した不発弾約3000発がアメリカ海軍によって爆破されました。一方では、その2年後に米海軍の演習を禁止する裁判所命令が出され、環境保護主義者もアメリカ海軍に抗議しましたが、こうした行動の甲斐も無く、裁判所命令は覆されました。
マリアナ諸島は直接台風の通り道にはなっていませんが、最近の暴風雨で大きな被害が出ています。その中でも特にひどかったものは1997年11月の超大型の台風25号で、広い範囲を破壊しましたが、死者や負傷者は幸いにも出ませんでした。島に被害を与えたもう一つの災難は1990年代後半のアジア経済危機であり、この影響を受けて結婚式に代表される観光収入が大幅に落ち込み大打撃を受け、不動産価格が急落しました。
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